DEEP FOREST/幻影の構成

読書記録。週2冊更新。A:とても面白い B:面白い or ふつう C:つまらない D:読むのが有害

リットン・ストレイチー『エリザベスとエセックス』B+、三宅乱丈『fish』1巻B

【最近読んだ本】

リットン・ストレイチー『エリザベスとエセックス』(福田逸訳、中公文庫、1987年、原著1928年)B+

 イギリスでは高名な伝記作家であるらしい。エリザベス一世(1533-1603)の晩年において女王の寵愛を受けながら、失態を重ねて巻き返そうとクーデターを起こし処刑されたエセックス伯ロバート・デヴァルー(1566-1601)の伝記。

 辛辣で持って回った言い方は慣れるとなかなか痛快であるが、やはりこの時代の知識などが不足してたせいで途中でよくわからなくなってしまった。いずれ再読したい……といいつつそんな機会があるものやら。

 翻訳者の福田逸福田恆存の息子だそうで、翻訳であることをまったく意識させない、職人的な翻訳である。その分翻訳者の文体が勝っている可能性もあり、いずれ原文と読み比べてみたいところ。

 

三宅乱丈『fish』1巻(ビームコミックス、2022年)B

 90年代の時代精神を代表するがゆえに名作であると同時にやや時代遅れにもなっていた『NIGHT HEAD』を2000年代に継いだ名作・『pet』(2003年)の続編ということで期待していたのだが、正直不満である。

 絵が綺麗になったが、かえって初期の絵の荒々しさや勢いというものが薄れて、しかもわかりにくくなっている。内容的にはpetを読んでいないとさっぱりわからないものも多く、これ単体では読めないのではないかと思う。

 まだ1巻ということで、思わせぶりに出て来る前作のキャラがでそろえば変わってくるのだろうか。