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『新・猿の惑星』(1971年、ドン・テイラー監督)を観た。
『猿の惑星』『続・猿の惑星』に続く第3作。
(以下ネタバレあり)
未来の地球は人類文明は衰退し、猿が支配していた。前作でコバルト爆弾により地球は滅亡したが、ギリギリのタイミングで三人(?)の猿が宇宙船で脱出に成功した。そして今度は彼らが時間の歪みに引っかかり、1970年代の地球にたどり着く。
人類は最初は戸惑いながらも、彼ら猿たちを友好的に迎えた。だが交流するうちに自らが滅亡することを知った人類は、その改変を画策し始める。おりしも猿の一人・ジーラが子どもを産み、それが人類征服の第一歩と判断した彼らは、猿たちの抹殺を決定した。危険を察知した猿たちは脱走するが、追い詰められ射殺されてしまう。
こうして人類を待ち受ける危機は回避されたかに見えたが、猿たちが逃走の際に立ち寄ったサーカスのチンパンジーが、彼らとの接触により言葉を覚え始めていた。そして物語は一旦幕を閉じる――
ウィキペディアでまで酷評を受けていた作品であるが、SF映画としてはそれほど悪くはなかったと思う。実際ネット上でも意外に好評価が多い。問題は続編の次作以降ということか。
それほど意外性のある展開ではないものの、ユーモラスな演出で、特に序盤、人々に歓喜の声で迎えられ、婦人会で演説をしたり、ショッピングにはしゃぐ猿たちは微笑ましかった。反面、前作まで理知的だった彼らが少々間抜けに見えてしまったのは少々残念である。
人類と猿の立場の逆転によるショックを前面に押し出した第1・2作から発展させ、さらに構図を逆転し、今度は人類をいい気になって支配していた猿が人類に翻弄されていく。続編を作るための苦肉の策かもしれないが、これは新たな問題提起としてなかなか巧みだと思う。猿たちは人間の心無い仕打ちに憤りながら、自分たちも同じようなことをしてきたために強く出ることができない。作品間で倫理的な対話が試みられていると見てよいだろう。
この戦いがどのように決着するのかは……あまり期待しないほうが良いのだろうが。次は『猿の惑星 征服』である。
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