DEEP FOREST/幻影の構成

読書記録。週2冊更新。A:とても面白い B:面白い or ふつう C:つまらない D:読むのが有害

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

神坂次郎『元禄御畳奉行の日記』A、スコット・ボーグ『消された私』B+

【最近読んだ本】 神坂次郎『元禄御畳奉行の日記』(中公新書、1984年)A これはおもしろい。日本史上でも有数の、町人文化の栄えた元禄の世……と、はなやかな江戸の姿を語りおこし、そういったイメージとは異なる「もうひとつの元禄」を、とある尾張藩士の遺…

ラーメンズのコントにおける知的障害者差別について

小林賢太郎は、過去のコントで不適切な言葉があったことを自ら認め、その後は「人を傷つけない笑い」を目指してきたと述べた。世間もそれを誠実な謝罪であると認める流れになっている。だが「人を傷つけない笑い」とは何なのか。 前から気になっているのは、…

北方謙三『不良の木』B、フレデリック・ポール『チェルノブイリ』B

【最近読んだ本】 北方謙三『不良の木』(光文社文庫、1994年、単行本1991年)B しがない私立探偵が、山奥で怪我した14歳の少年を偶然たすけたことから、少年とその親の確執をめぐるトラブルに巻きこまれる。淡々とした無駄のない文体、信条をつらぬくスタイ…

ジェイムズ・サリス『黒いスズメバチ』B、リチャード・プレストン『ホット・ゾーン』B

【最近読んだ本】 ジェイムズ・サリス『黒いスズメバチ』(鈴木恵訳、ミステリアス・プレス文庫、1999年、原著1996年)B ニューオーリンズを舞台に、黒人の私立探偵を主人公としたハードボイルドという異色作。時代は60年代末で、人種差別が公然とまかり通る…

桜木知沙子『真夜中の学生寮で』B、宮内勝典・高橋英利『日本社会がオウムを生んだ』B

【最近読んだ本】 桜木知沙子『真夜中の学生寮で』(キャラ文庫、2009年)B 前半は良い。寮の一人部屋が怖くて独りで眠れない少年の奮闘という、他人にはくだらないが本人には切実な問題を描いて、良質な青春小説になっている。 この少年が素直でけなげなキ…