DEEP FOREST/幻影の構成

読書記録。週2冊更新。A:とても面白い B:面白い or ふつう C:つまらない D:読むのが有害

2018-01-01から1年間の記事一覧

遠藤周作『何でもない話』B、眉村卓『遙かに照らせ』B

【最近読んだ本】 遠藤周作『何でもない話』(講談社文庫、1985年)B 内容はタイトル通り――つまり、取るに足らない事件や事件未満の出来事をきっかけに、自らの人生をふと振り返ったり、見方を変えることになったような人々の物語集ということになるのだろう…

マイケル・バー=ゾウハー『ファントム謀略ルート』B、宵町めめ『龍宮町は海の底』B

【最近読んだ本】 マイケル・バー=ゾウハー『ファントム謀略ルート』(広瀬順弘訳、ハヤカワ文庫、1982年、原著1980年) B 1980年の国際情勢を背景に繰り広げられる大仕掛けなサスペンス小説で、二つの物語が並行して進行する。ひとつはアメリカ大統領候補と…

ウォーレン・マーフィ『地獄の天井』A、千葉貢『相逢の文学』C

【最近読んだ本】 ウォーレン・マーフィ『地獄の天井』(平井イサク訳、サンケイ文庫、1986年、原著1984年)A ベルリン、ワシントン、カリフォルニアを結んで繰り広げられる「現代史伝奇スリラー」。翻訳小説で伝奇とつくのは珍しい。 時は1984年、主人公は…

J・T・ブラナン『絶滅』A、新美健『明治剣狼伝』B

【最近読んだ本】 J・T・ブラナン『絶滅(上・下)』(棚橋志行訳、二見文庫、2016年、原著2014年)A 考古学者が謎の構造物を地底に発見するプロローグに始まり、突然動きだす巨大な像、次々に人類に牙をむく鳥や犬たち、大津波や大寒波など異常気象による大…

カール・A・ポージイ『嵐の演習空域』A、三好徹『風は故郷に向う』B

【最近読んだ本】 カール・A・ポージイ『嵐の演習空域』(山本光伸訳、ハヤカワ文庫、1991年、原著1984年)A 翻訳者の山本光伸が、訳者あとがきの4ページ中2.5ページを「訳者あとがき」を書くことへの愚痴に費やし、残りで「読んでみたら面白かった」とちょ…

【最近読んだ本】 W・R・ダンカン『女王のメッセンジャー』(工藤政司訳、ハヤカワ文庫、1984年、原著1982年)B 「女王のメッセンジャー」(queen's messenger)というのは、イギリスで機密書類の運搬を担った国際的なネットワークのことである。実在する組…

【最近読んだ本】 ジョエル・スワードロウ『コードZ』(河合裕訳、1981年、原書1979年)A 時は1975年、アメリカ大統領ジェラルド・フォードは、テロへの迅速な対応のため、大統領直属のテロ対策エージェントを設置する。コードZと呼ばれるそれは、ひとたび指…

【最近読んだ本】 三好徹『旅人たちの墓石』(徳間文庫、1982年、単行本1977年角川書店)B 舞台は1973年のチリ。「赤いアジェンデ」政権に対するピノチェト将軍のクーデターを背景にした国際サスペンス小説である。解説で、アジェンデ大統領はカストロから贈…

【最近読んだ本】篠田節子『神鳥 イビス』(集英社文庫、1996年、単行本1993年) B イビスってなんだっけ? と思ったらトキ(Ibis)のことだった。タイトル通り、当時は日本産は最後の2羽が残るばかりとなっていたトキがテーマとなっている。 明治35年に27歳…

【最近読んだ本】 大藪春彦『野獣死すべし』(新潮文庫、1972年、発表1958年)A 大藪春彦を初めて読んだのだが、動機なしでただひたすら殺戮が続くことに驚いた。 主人公の伊達邦彦は戦前の満州ハルピン生まれ。敗戦の引揚げ時に中学生、大藪春彦が1935年生…

【最近読んだ本】 早乙女貢『奇兵隊の叛乱』(集英社文庫、2015年、単行本1970年)A 吉田松陰が神格化された現代では貴重かもしれない、維新史の暗部を描く異色作品。なにしろ執念で『会津士魂』全13巻(1970〜1988)・『続会津士魂』全8巻(1989〜2001)を…

『猿の惑星 創世記』(ルパート・ワイアット監督、2011年)B 『猿の惑星』のリブート映画として、サルがどのようにして人間に代わって地球を支配するに至ったかを一から描くということだったらしいが、結局は普通のパニックホラー映画になってしまった印象。…

【最近読んだ本】 阿部夏丸『見えない敵』(講談社文庫、2010年、単行本1998年)A 『オグリの子』の作者。そういえば昔ドラマやってたけど見なかったなと思いつつ読んだ。 色々な読み解く視点をうまく盛りこんでいて、教科書のような小説だと思ったが、一方…