DEEP FOREST/幻影の構成

読書記録。週2冊更新。A:とても面白い B:面白い or ふつう C:つまらない D:読むのが有害

2016-01-01から1年間の記事一覧

船戸与一『群狼の島』(徳間文庫、1992年4月刊、単行本1981年6月双葉社刊)を読んだ。 娯楽冒険小説の傑作である。何より、読んでいる間の安定感が良い。 主人公の「おれ」は船乗りである。寄港地のマダガスカルでギャンブルをめぐるトラブルに巻き込まれた…

小池真理子『墓地を見おろす家』(角川ホラー文庫、1993年、1988年角川文庫刊の改版)を読んだ。 正直なところ、読んでいる間はさほど面白いとは思えなかった。 舞台は大規模な墓地の隣の、古い屋敷――ではなく新築の高層マンション、というのが当時の新機軸…

クリストファー・ウッドの『脱出せよ、ダブ!』(原題A Dove against Death, 1983, 佐和誠訳、ハヤカワ文庫、1983年)を読んだ。 これぞ冒険小説!という感じで、表紙の時点で惹かれるものがあったが、大正解であった。 物語の舞台は第一次世界大戦真っ只中…

最近の入手本 『星明かり燦々 坂部三次郎自伝』(ダイニック、2002年) 書籍装幀用クロスメーカーで有名なダイニックの元会長・東京理科大学元理事長の坂部三次郎(1923 – 2001)の自伝。一周忌を記念して息子・坂部三司による編集。 自社の工場内に天文台を…

ダンカン・カイルの『海底の剣』(原題A Raft of Swords, 1973年、仁賀克雄訳、ハヤカワ文庫、1976年)を読んだ。 表紙が良い。潜水艦を駆使する海洋冒険小説と予想して、あわよくば田中光二の『我が赴くは蒼き大地』のようなものを期待していたのだが、さす…

最近買った本 東大旅行研究会『島の旅』(現代教養文庫、1964年) 1953年創立の学内サークル・旅行研究会による、日本の近海の離島三十余のガイドブック。この時代に急激に進んだ全国の観光地化や、それに伴い失われていった民俗などへの危機意識を反映し、…

最近買った本 名和忠雄『暴力団対策法を斬る』(星雲社、1993年) 元山口組系暴力団「名和組」組長だった名和忠雄による、「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(暴力団対策法、1992年施行)が憲法違反であるとして抗議を表明した本。山城新伍…

エマニュエル・カレールの『口ひげを剃る男』(原題La moustache, 1986年、翻訳田中千春、河出書房新社 Modern & Classic, 2006年)を読んだ。 ジャン・フィリップ・トゥーサンが推薦している――というのが、ワナといえばワナである。事件らしいことが何も起…

羽場博行『崩壊山脈』(祥伝社ノンノベル、1996年)を読んだ。 ノンノベルの中にあったので――なにしろ夢枕獏や菊池秀行をたくさん出しているレーベルだ――スケールの大きなエロスとバイオレンスを期待して読んだら、結構まじめな社会派作品だった。 舞台は長…

3月のはじめに引越しをした。10年近く住んでいた社会人寮が閉館したのである。本がたくさんあるので、どうせなら安くて広い部屋を――と探してみたところ、江東区のワンルームから埼玉の3DKになってしまった。通勤は40分から1時間半に延びたが、部屋が広いとい…