DEEP FOREST/幻影の構成

読書記録。週2冊更新。A:とても面白い B:面白い or ふつう C:つまらない D:読むのが有害

2009-01-01から1年間の記事一覧

「沈まぬ太陽」のこと

映画「沈まぬ太陽」を観てきた。 なかなか良い映画だった。何しろ全5巻の大長編で手が出なかった原作の内容が約3時間でわかってしまうのだから、映画として多少長くても文句はない。 かつて航空会社の労働組合の指導者としてともに戦った二人の男。一人(渡…

ある感傷的な『ぷりるん。』論

<表> 十文字青『ぷりるん。〜特殊相対性幸福論序説〜』(一迅社文庫)は、誰からも愛されていないと感じていた主人公・ユラキが、周りのみんなに「みんな君のことが大好きなんだよ」と言ってもらうことで救われる物語である。 高校生・ユラキの日常は平穏…

マクロスFの再放送をMXでやってて、3話まで観たが、日常語で「デカルチャー」とか言ってるのが恥ずかしくて仕方ない。その内慣れるんだろうか。なるべく自然な風に演出しているせいでかえって恥ずかしい。

かの占星術師・御手洗潔が脳科学の教授をやっているというスウェーデンのウプサラ大学は、かつて偉大な霊能力者、エマヌエル・スウェーデンボルグ(1688-1772)が卒業した大学である。 スウェーデンボルグは11歳でウプサラ大学に入学し、卒業後諸外国で最先…

「亡念のザムド」最終回の「千年経ったら答えはわかるさ」っていう台詞は、寺山修司の映画「さらば箱舟」の「百年経ったらみなわかる そしたらみんな帰って来い」のオマージュだったんだろうか。特に言及はされてないみたいだから違うのかな。 「さらば箱舟…

最相葉月「星新一 一〇〇一話を作った人」(新潮社)に、 水俣病や四日市ぜんそくなどを特集した「公害 この絶望的現実」(「週刊読売」昭和四十五年九月二十四日号)では、筒井、眉村、新一の三人がルポを競作した。(p.358) という記述があったので、おおッ…

「さよならの代わりに」について

「さよならの代わりに」貫井徳郎 幻冬舎 *特に大きなネタバレはなしで* 傑作、だったのかもしれない。 主人公は劇団「うさぎの眼」に所属している青年・和希。 大役はもらえないし生活は貧乏だが、心を許す友人、 お互いを高めあうライバル、片思いの女性…

COILの「キリギリス」作詞:長澤知之 人間なんて ラララと唄う 僕はちょっと泣いたんだと思う よどんだ午後にすることもないので ギターでも弾こう 涙をふこう 恋人達は ウフフと笑う 君のことはもう忘れようと思う あいにく僕はどうってことないので ギ…

昔「ラビリンス」という渡部篤郎主演のサスペンスドラマ(1999年)があって、 DVDどころかビデオも出てないようなので調べたら、 wikipediaに アストル・ピアソラの音楽の著作権使用料が相当の多額となるため、パッケージ化は現在のところ目途がたっていな…

えーと、前回のエントリは、 周りに最近笑い事でなく心配されたりするようになって、 さすがに買う本を減らそう、と思ったものの、 見返してみると一つも減らせないことがわかったので、 まあいいか、と思ったという、そういうことです。 そんな開き直りをブ…

2009年8月に買った本 <小説> 「サラマンカの手帖から」辻邦生 新潮文庫 「マンボウ周遊券」北杜夫 同 「「我輩は猫である」殺人事件」奥泉光 同 「魚雷艇学生」島尾敏雄 同 「にぎやかな悪霊たち」都筑道夫 講談社文庫 「蛍」吉村昭 文春文庫 「回帰祭」小…

「ミクロ・スパイ・シリーズ1 ルーマニア潜入作戦」 リンジイ・ガターリッジ著、村上博基訳 ハヤカワ文庫SF を入手。 紹介文: 人口爆発に対処すべく、イギリスでひそかに研究されていた人間縮小計画。その最初の実験に挑戦したのが、情報部員ディルク、…

「化物語」を観はじめた。 原作を未読だとワケがわからないらしいのだが、 話はともかく個人的にはちょっと病的な演出のビジュアルが素晴らしいので観ていて楽しい。 特に建物の描写。 設定資料集とか出ないかな。

紆余曲折を経てけいおん!アンソロジーコミック「みんなでうん☆たん」(「まんがタイムきらら」2009年9月号付録、だった)入手。 なんていうか、手に入れるために費やした苦労が報われない内容である。 評判だった大沖は…コレは「はるみねーしょん」の初期バ…

「サマーウォーズ」観てきた。 なんていうか、あまりにも「ウォーゲーム」だったので感動した。 ウォーゲームっていっても、デジモンじゃなくて(観てない)、 ジョン・バダム監督の、80年代の傑作SF映画「ウォーゲーム」の方である。 「ウォーゲーム」の…

けいおんのオフィシャル同人誌「みんなでうんたん」というのがスゴいというので、 それが付いてる雑誌(けいおん!を連載している雑誌。名前は知らない。多分表紙をみればわかる)を探したのだが、 近くの本屋にはすでに置いてなくて、 代わりに「みなみけ6…

「デコーダー」という映画の存在を知った。 バロウズの作品をもとにしているそうで、 「WAVE12 廃墟庭園」(ペヨトル工房、1987年)で志賀隆生や武邑光裕(懐かしい名前!)が言及してて面白そうなんだが、 タイトルが平凡すぎてほかの情報に埋もれてなかな…

ヱヴァ破の、レイとアスカが頑張って料理をする、というのは、 バンソウコウなんかも含めて、類似のシーンが林ふみのの「鋼鉄のガールフレンド2nd」にあった気がずっとしてるんだけど、 手元に本がないので確かめようがない。 まああったとしても大した意味…

さっきエヴァンゲリオン第七話「人の造りしもの」を観たら、 わかりやすい話ながらちょっとひねってあるし、 ミサトやシンジ、リツコやゲンドウらの微妙な距離感を巧みに示しながら、 いかにも庵野らしく特撮のテイストを出しつつ、ネルフ外部の事情をも垣間…

女優の大原麗子が亡くなったそうだ。 僕の中では、NHKのドタバタコメディドラマ「レイコの歯医者さん」の主人公レイコ、 大河ドラマ「徳川慶喜」の新門辰五郎の妻・れん(ナレーション兼)なんかが今でも記憶に残っている。 両作とも因縁をつけてきた男に…

ヱヴァ破を観てきた。 まあやっぱり、TV版も旧映画版も観ないで観るのは無謀だった、ということで。 なんていうか、わかりやすく言えば、シティーハンターを一冊も読まずにエンジェルハートを読まされた人間の気分である。 確かに単体としても面白いんだけど…

3巻にはなかった

「それでも町は廻っている」2巻にも「ナイトヘッド」ネタがあった。 106ページ、 「午前0時を回って5月1日になりました ナイトヘッドレディオDJは引き続きアミーゴ霧原でお届けします」 ってヤツ。 「頭が痛いよ兄さん」はぎりぎり偶然の可能性もあるが、 こ…

石黒正数「それでも町は廻っている」1巻(ヤングキングコミックス)のサブカル引用の中に「ナイトヘッド」ネタ(うう……頭が痛いよ兄さん)を見つけてうれしかった。 僕も何度かやったことがあるが一度も通じたことがない。 マンガ自体は表紙絵の背景が好きな…

先日、カヅホ「キルミーベイベー」と異識「あっちこっち」を読んだが、 どちらもあまりにもツッコミが杜撰すぎて読むに耐えなかった。 思い返すと、どちらも困ったら殴って解決していたようにみえた(実際はそうでもないかもしれないがこういうときは暴力的…

三岸好太郎について

最近ずっと、画家・三岸好太郎の詩が気になっている。 「飛ぶ蝶」 窓からひらひらと飛んできた蝶は/呼吸しない白い壁に足をとめた/蝶の冬眠が始まる/ しかし押えられたピンをはねのけて再び飛び立つことは自由だ 詩自体は、「蝶と貝殻(視覚詩)」という…

さっき某所でみつけた発言。 chaos;headを神ゲー認定。飯田譲治がギャルゲー作ったらこうなる感じ。いい意味で。 俄然プレイしたくなった。 「ひぐらし」が終わったら挑戦してみようかな。 しかし飯田譲治はよく飯野賢治と間違われるので注意が必要である。 …

背広の由来

日本では、スーツを「背広」と書いて「セビロ」と読む。 その由来は、英国・ロンドンの高級洋服店街「サヴィル・ロウ」からこの服が作り出されたため、 「Savile Row」が訛って「背広」が当てられたとする説が有力だそうだ。 ホントかよ ちなみに出典はコレ…

独白

某所で「フルメタル・パニック!」についての文章を書いた。 で,そのあと,フルメタの元ネタとおぼしきSF小説を読んだ。 (起こる現象はや理論はほぼ同じだし香港の九龍公園とかでてくるから多分間違いない) その上で自分の文章を読みかえしてみたら, そ…

事実誤認の効用

中原昌也:たとえば映画の文章だと、僕、すごい事実誤認書きまくっちゃうんです。(中略) 阿部和重:その誤解が生産性を持ったりするんですよ。 〜『青山真治と阿部和重と中原昌也のシネコン!』(リトル・モア、2004年、p.170) なんだか便利そうな言い回…