DEEP FOREST/幻影の構成

読書記録。週2冊更新。A:とても面白い B:面白い or ふつう C:つまらない D:読むのが有害

2014-01-01から1年間の記事一覧

南原幹雄の『天下の旗に叛いて』(新潮文庫、1992年、単行本1990年)を読んだ。 時は室町時代、六代将軍足利義教の治世。将軍と並び立つほどの権力を持つ鎌倉府の長・足利持氏は、権力の奪取をもくろみ反乱を起こすが失敗、敗北の末自刃においこまれる。世に…

杉森久英の『浪人の王者 頭山満』(河出文庫、1984年、単行本1967年)を読んだ。 頭山満(1855 - 1944)は、明治から戦前までの歴史を扱った本に、たびたび出てくる名前である。だがその活動内容のためか、全貌はなかなか知ることができない。彼は、明治維新…

ジョン・ガードナーの『ゴルゴタの迷路』(水上峰雄訳、新潮文庫、1981年、原著John Gardner Golgotha, 1980年)を読んだ。 時は近未来――1980年時点での近未来、199x年。ソ連は突如として西欧諸国に侵攻を開始する。ドイツ、イタリア、フランス等、抵抗も虚…

高橋和巳『捨子物語』(河出文庫、1996年)を読んだ。捨子物語―高橋和巳コレクション〈3〉 (河出文庫)作者: 高橋和巳出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1996/07メディア: 文庫この商品を含むブログを見る 第一回文藝賞受賞作『悲の器』(1962年)に先立…

高橋健誰『文明生物考古学への招待』(セガ少年少女科学新書)を読んだ。 あまりもったいぶるのは得意ではないのでさっさとネタバレしてしまうと、昔流行った育成ゲーム『シーマン』の解説本である。 ゲームは全くやらないので、CM以上のことは知らなかった…

もりたなるお『銃殺 運命の二・二六事件』(講談社文庫、1994年、単行本1990年)を読んだ。 タイトル通り、二・二六事件を扱っているが、その中心部ではなく、周辺にいた一将校の立場から描いている。主人公の宮林直大中尉は、皇道派将校に思いを寄せ、蜂起…

井上靖の『天目山の雲』(角川文庫、1975年、『異域の人』1957年の再編集・改版)を読んだ。天目山の雲 (角川文庫 緑 216-30)作者: 井上靖出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 1975/02/10メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を…

久間十義の『ヤポニカ・タペストリー』(河出文庫、1996年、単行本1992年)を読んだ。ヤポニカ・タペストリー (河出文庫―文芸コレクション)作者: 久間十義出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1996/06/01メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る …

光瀬龍『ロン先生の虫眼鏡』(徳間文庫、1980年、単行本1976年)を読んだ。 日本の第一次世代SF作家の一人であり、東洋哲学をSFに取り入れたと高く評価された光瀬龍(1928-1999)は、もとは高校の生物・地学教師でもあり、退職後も在野の研究者として、本書…

『橋のなんでも小事典』(ブルーバックス)を読んだ。橋のなんでも小事典―丸木橋から明石大橋まで (ブルーバックス)作者: 土木学会関西支部出版社/メーカー: 講談社発売日: 1991/08メディア: 新書 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る これは土…

津村節子の『葬女(とむらいめ)』(集英社文庫)を読んだ。葬女 (集英社文庫 青 61-A)作者: 津村節子出版社/メーカー: 集英社発売日: 1977/12メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る タイトルは、葬儀屋の女主人の意味である。彼女が葬儀をつとめ…

以前、こんな写真がツイッターで紹介されていた。 Nikola Tesla in his lab URL2014-09-26 11:00:29 via Buffer ところで、これは何の実験なのだろうと思っていたのだが、その説明らしきものを見つけた。 現在の発電・送電には交流が使われる。なぜ直流が使…

藤本義一の『二寸法師』を読んだ。伝奇ともファンタジーともつかない、奇想小説として楽しめた。二寸法師 (集英社文庫)作者: 藤本義一出版社/メーカー: 集英社発売日: 1983/03メディア: 文庫この商品を含むブログを見る(集英社文庫なので一般小説ではあるが…

徳永真一郎の『毛利元就』を読んだ。 毛利元就の一生をカバーした小説を読もうと思うと、人気の割に意外に少ない。代表的な永井路子『山霧』や谷恒生『毛利元就』は元就の生涯の途中で終わってしまうし、榊山潤『毛利元就』は全5巻と長すぎるので、手っ取り…

藤野千夜『中等部超能力戦争』を読んだ。中等部超能力戦争 (双葉文庫)作者: 藤野千夜出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2010/06/10メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (2件) を見る タイトルから眉村卓の『ねらわれた学園』みたいなものを想像…

ダシール・ハメット『血の収穫』(田中西二郎訳、創元推理文庫)を、読んだ。 パースンビル――別名ポイズンビルとも呼ばれる悪の巣窟に、名無しのオプこと「おれ」が乗り込み、地元の警察やギャングたちの対立を巧みに煽って殺し合いに発展させ、悪を一掃して…

『由来 第一巻』を読む〜霊能者としての島田晴一

島田晴一『由来 第一巻』(宗教法人天心聖教、1974年)を読んで、なかなか面白かったので、紹介してみようと思う。なお、この本は筆者が偶然古書店で購入したものであり、筆者自身はこの宗教および関係団体とは無関係である。また本稿も、特定の宗教を称揚す…