DEEP FOREST/幻影の構成

読書記録。週2冊更新。A:とても面白い B:面白い or ふつう C:つまらない D:読むのが有害

2017-01-01から1年間の記事一覧

来年はもっとたくさん更新できるようにしたい。

『セルラー・シンドローム』(パークプーム・ウォンチンダー監督、2007年・タイ)A タイの現代社会の闇を描いたサイコ・ホラーということだが、題材は「インターネットのプライベート動画流出の恐怖」という、日本でも充分ありうる問題だろう。ごく平凡な青…

【最近読んだ本】 小島アジコ『アリス イン デッドリースクール』(麻草郁原作、電撃コミックスEX、2015年)A 麻草郁原作の戯曲を基にしたコミック。平和なのんびりした時間を過ごす女子高に、3話目のラストにて突然あらわれたゾンビ。漫才コンビをめざす優…

【最近読んだ本】 丸山健二『踊る銀河の夜』(文藝春秋、1985年)B 三編収録の短編集だが、どれも同じような印象。いずれも都会から置き去りにされた島に住む、ひとりの男の一人称で、明確なものではないが、みな何かしら鬱屈をかかえている。物語は時系列を…

【最近読んだ本】 宮本昌孝・田中光二『漂流の美剣 失われし者タリオン1』(ハヤカワ文庫、1987年) B 『剣豪将軍義輝』などで有名な宮本昌孝のデビュー長編。 北欧の中世と神話の混交した世界観をベースに、大陸制服をもくろむ帝国と、それに抵抗する小国家…

折原一『赤い森』(祥伝社文庫、2013年)の年表

赤い森 (祥伝社文庫)作者: 折原一出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2013/07/24メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る 折原一『赤い森』は、もともと祥伝社文庫の『樹海伝説 騙しの森へ』(2002年)、『鬼頭家の惨劇 忌まわしき森へ』(2003年)と…

戦時中のミッションスクールを舞台にしたミステリである皆川博子『倒立する塔の殺人』では、アンリ・バルビュスの『地獄』の話題が何度か出てくる。 乱歩は、アンリ・バルビュスの『地獄』に触発されて「屋根裏の散歩者」を書いたのではないだろうかと、わた…

【最近読んだ本】 アーサー・C・クラーク『天の向こう側』(山高昭訳、ハヤカワ文庫、1984年) A クラークの1947年〜1957年の10年間にわたる短編を集めた作品集。 やはり「90億の神の御名」であろう。ショートショートといえる長さの短編であるが、ラマ僧と…

【最近読んだ本】 柄刀一『3000年の密室』(光文社文庫、2002年)B あるアマチュア考古学者が長野県の山奥の洞窟に発見した縄文人のミイラは、密室状態で殺されていた。サイモンと名付けられた彼は何者なのか? 学者たちの議論が続く中、当のアマチュア考古…

【最近読んだ本】森真沙子『真夜中の時間割 転校生2』(角川ホラー文庫)A 『転校生』の続編のようだが、転校生はエピローグで登場するだけで、ほぼ独立している。あまり期待せずに読んだのだが、マンネリを恐れてか、掌編を随所に挟んだりして変化に富む構…

【最近読んだ本】 森真沙子『転校生』(角川ホラー文庫、1993年) B 一編ごとに異なる高校を舞台とするホラー短篇集。転校生という外部の視点から、学校内の些細な違和感――古い言い伝えや行動のおかしな生徒など――が発見され、その正体をさぐる内に意外な真…

堀田善衛『めぐりあいし人びと』(集英社、1993年) S 堀田善衛といえば、モスラの原作者の一人であるとか、宮崎駿が代表作の『方丈記私記』のアニメ化を構想してたことがあるとかで、たまに名前が出る、戦後知識人の大物である。本書はその入門書として最適…

最近、引っ越した。といっても、同じマンションの2階から1階にである。 どうも今すんでいるところは、広くて安いのは良いのだが、天井と床が薄いのではないかという疑いがある。夜に部屋にいると、上の階でひとがひたひたと歩いている音が聞こえる。走ってい…

菅原キク『HOLY HOLY』1・2巻(アーススターコミックス)の新装版『旧約マザーグール』上下巻(リュウコミックス)入手。 少女版『蠅の王』ともいうべきサバイバルコミックが出版社をかえて再始動である。なにが面白いといって、旧版表紙に見られる異形めい…