DEEP FOREST/幻影の構成

読書記録。週2冊更新。A:とても面白い B:面白い or ふつう C:つまらない D:読むのが有害

 最近、引っ越した。といっても、同じマンションの2階から1階にである。
 どうも今すんでいるところは、広くて安いのは良いのだが、天井と床が薄いのではないかという疑いがある。夜に部屋にいると、上の階でひとがひたひたと歩いている音が聞こえる。走っている音ならともかく、歩いている音である。寝ていると、下の階の物音が伝わってくる。下で窓を開くガラガラという気配がわかるのだ。そのくせ、隣の部屋の物音はめったに聞こえない。少なくとも子どもが二人いて相当うるさいはずなのだが。
 これはいずれ本の重みに耐え切れず、床が抜けてしまうのではないかと思っていたのだが、2月に1階の部屋が空いたので、これをよい機に引っ越したのである。
 2階から1階に移るのは、イメージとしてはパソコンのデータを違うフォルダに移すような具合で簡単そうに見えるが、実際はいちど解約しての再契約となるので、普通に引っ越すのと同じ費用がかかるし、部屋番号が変わるというだけのことでいちいち免許や住民票やカードの住所変更などするのは面倒である。しかし本の重みで床が抜ける気づかいがない――まあ抜けることはあるかもしれないが、少なくともその下に人がいる可能性は低い――生活というのはよいもので、絶大な安心感をもたらす。
 引っ越した先は真下の部屋ではなく、斜め下の部屋であり、かつての隣人は今は真上にいる。日曜日になると、天井から子どもがドタドタ走り回る音が聞こえる。隣に住んでいた頃はきこえなかったものである。休みの日は一日中けっこううるさい。
 そして隣室の音はやはり聞こえない。いつか壁と床の構造がどうなっているのか、のぞいてみたいと思うのだが。