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1.辻邦生『地中海幻想の旅から』レグルス文庫、1990年。
2.筒井康隆選『実験小説名作選』集英社文庫、1980年。
3.友成純一『幽霊屋敷』角川ホラー文庫、1995年。
4.リチャード・クロスマン編『神は躓ずく 西欧知識人の政治体験』村上芳雄訳、ぺりかん社、1969年。
5.アーサー・ケストラー『創造活動の理論 上』大久保直幹・松本俊・中山未喜訳、ラテイス、1964年。
6.ジェス・スターン『超人ケイシーの秘密 上下巻合本』棚橋美元訳、たま出版、1991年。
1.60年代〜70年代の紀行文集。いつも通り、政治変動の空気、ヨーロッパの歴史への洞察、そして親友・北杜夫の思い出。
2.横田順弥から牧野信一まで、筒井ならではのラインナップ。解説対談は荒巻義雄が出てきてレクチャーしているあたりも時代を感じさせる。対談の最後、
筒井 ぼくは評価されそうになるとそこから逃げ出して別のところへ行く。そこでまた、評価されないといって不満を言う。ぼくはそういう作家ですから(笑)
という発言は、その後の活動を暗示しているようである。
3.友成純一という作家を知らない頃に読んだが、よく覚えていない。確か主人公がやたら無感動な少年で、そちらのほうが不気味だったような気がする。
4.アーサー・ケストラー、イグナツィオ・シローネ、リチャード・ライトら共産党入党者、アンドレ・ジイド、ルイス・フィッシャー、スティーブン・スペンダーら共産党支持者たちの挫折の記録を綴ったルポルタージュ……かと思ったら、彼ら自身による挫折経験をめぐるエッセイのアンソロジーらしい。面白そうだが、ケストラーとジイドくらいしか知らないので、解説があまりないのが不満。
5.アマゾンでは数千円くらいする本。これはカバーがないので安かったけど。副題に「芸術の源泉と科学の発見」とあるように、ある種の「ひらめき」への科学的なアプローチを試みた本らしい。引用が多くて、ポラニーとかハックスレイとか知っている名前も多いので面白そうである。巻末の広告によると「創造工学シリーズ」の一冊で、他はファーバー&ウィルソン『葛藤と創造性』、キィーズ『あなたの思考能力を開発します』など。ビジネス書なのか学術書なのかよくわからない。あと訳者のうち二人が外務省職員なのもよくわからない。
6.エドガー・ケイシーの伝記的紹介本。ケイシーの本はたいてい健康本とかアカシックレコードとか断片的なものばかりなので、こういうのは(多分)貴重。