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雨宮処凛『なにもない旅 なにもしない旅』(光文社知恵の森文庫)を読んだ。
内容は読んで字の如し。ぼくは旅先では何をすればいいのかわからず困ってしまうタイプなので、そんな状態を楽しむヒントでもあれば、と思って読んでみたのだが……
収録されているほぼすべての旅行を、仲の良い友達と行ってる、というのがどう考えても甘いと思う。ぼくがこういう「旅」をする時(というのはフィールド調査で山や川に一人で行くとき)は、誰も知り合いがいない田舎町を不審な目で見られながら独り寂しく歩き、もちろん道を訊くことなどできないのでまめに地図を見ながら歩いて結局迷い、心細いので歌でも歌いたいが他人に聞かれると嫌なのであくまでも小声で、お店を見つけても怖くて入れず、昼食は出発前に買っておいたコンビニ弁当を隠れて食べ、調査の用事を済ませると風景を楽しむ余裕もなく即座に撤収、電車の中で本を読んで帰る、というパターンであった。
こういった状況は、連れに友人が一人でもいればだいぶ改善されるはずのもので、道は話でもしながら歩くし、二人ならお店に入るのも他人に話しかけるのも多少大胆になれるし、あとは本作がそうであるように、入ったお店の食べ物がまずい、とか不満を言うこともできる。問題はそういった連れがいないとき、よるべない時間をどう過ごすかということで、その辺を楽しむ方法があるなら是非知りたいと思ったのだが。
- 作者: 雨宮処凛
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/09/09
- メディア: 文庫
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