山田正紀『謀殺のチェス・ゲーム』A、ロバート・アスプリン『銀河おさわがせ中隊』B
【最近読んだ本】
山田正紀『謀殺のチェス・ゲーム』(ハルキ文庫、1999年、単行本1976年)A
人をゲームに見立てたタイプの物語はなんとなく食傷していたので読んでいなかったが、これは面白かった。何者かに奪われた自衛隊の最新型哨戒飛行機の行方を突き止めるため、立ち向かうのは新戦略専門家(ネオストラテジスト)たち。ゲーム理論を駆使して状況の分析・作戦の立案を行う彼らは、自分たちが戦っている相手もまた新戦略専門家に他ならないことに気づいていく。
非合理なものを徹底的に理論的に追い込んでいく快感、そしてそれが不確定要素によりひっくり返されることのマゾヒスティックな嗜虐の連続で、息もつかずに読み切った。いったいこれでどう収拾をつけるのか心配になってしまったが、冒頭のやくざの抗争がこうやって効いてくるというのは感心してしまった。最後のやや皮肉めいたエピローグも良い。
ロバート・アスプリン『銀河おさわがせ中隊』(斎藤伯好訳、ハヤカワ文庫、1992年、原著1990年)B
落ちこぼればかりのダメ中隊の指揮官になった男の物語――というとよくあるものだが、この主人公の正体が銀河最大の兵器会社の御曹司なのである。自信たっぷりで、それに見合う能力もあり、コネと金を惜しみなく使って大活躍をはじめる。果たしておもしろいのかどうか読んでいて自分でもよくわからないのだが、とにかく今まで読んだことのなかったタイプのお話ではある。続きも読んでみる予定。