樋口明雄『ハイスクール重機動作戦』A、島田荘司『天に昇った男』B-

【最近読んだ本】

樋口明雄『ハイスクール重機動作戦』(富士見ファンタジア文庫、1990年)A

 先日、松岡圭祐の『高校事変』(2019年)を読んだのだが、この作品のパクリだったのではないかというくらいによく似ている。

 まあ、「高校をある日突然謎のテロリスト集団が占拠し、ひとりの女子高生が特殊なスキルを駆使して友人たちと立ち向かう」というプロットなら、大体似てきてしまうものなのかもしれない。とはいえ、テロリストメンバーとのやり取りやうろたえるばかりで不甲斐ない教師、明かされる正体のショボさなど、あちこちに既視感があった。

 本作の特色は、パワードスーツ<ガン・デッド>の登場である。もともと学生が文化祭の出し物で作っていたもので、

「<ガン・デッド>は、十分実戦に使えるように設計してあるんです。セラミックとステンレスの装甲は、厚さ最大5ミリ。両腕の力は、パワー・ショベルのおよそ1.5倍。メイン出力600馬力、総排気量6812ccの水冷V型8気筒ディーゼル・エンジンで駆動し、100メガバイトのコンピュータを使ったイメージ強化装置に赤外線暗視装置――」(p.139)

 という代物で、これを親のコネを駆使して資材を集めて、20億円かかるところを36万円で作ったという。

 序盤から登場を期待させておいて意外に活躍できないのが少し不満だが、映画研究会の青春小説としてもうまくまとまって文句はない。続きも読みたいのだが、プレミアがついてるようなのでどうしたものか。

 

島田荘司『天に昇った男』(光文社文庫、1994年)B-

 当時書いていた『秋好英明事件』の副産物として生まれたものだという。無実の罪で死刑になった男が、首を鍛えることで絞首刑を生き延びて(!)、特例で釈放される。彼は事件のあった街に戻り、愛する女性と人生をやり直そうとするのだが……

(以下ネタバレ)

 これは短編にすべきだったのではないだろうか。読んでいるうちにどうしてもビアスの某短編が思い出されて、オチがわかってしまう。これを通して死刑反対へのメッセージを込めたようなのだが、印象に残るのは死刑そのものよりも、閉鎖的で差別感情を持つ町の人々の恐ろしさや、知恵遅れの少女が実はすべてを支配しているサイコホラー的な逆転劇といったものだろう。主人公が不幸になる以外になく追いこまれていく様は読んでいてとてもではないが楽しめるものではなく、つらい本だった。