DEEP FOREST/幻影の構成

読書記録。週2冊更新。A:とても面白い B:面白い or ふつう C:つまらない D:読むのが有害

大河ドラマ龍馬伝」、録画したのだけれど未だに観る決心がつかない。
大体時代モノというのは、あらかじめ各キャラクターがどう死ぬか知ってしまっているので、それを思うと観ていて辛いのである。「新撰組!」を観ていたときは、沖田総司藤原竜也)が咳をするたびにドキッとしていたし、龍馬(江口洋介)が死んだ時は、周囲の反感を買うなど殺される伏線が張られていくのが辛くて辛くて、結局わかっていたのに暗殺の回のあとは2週間くらいショックが尾を引いて何を見ても哀しかった。演出が上手ければ上手いほど死の無情さが胸に迫ってくるし、そこに至るまで、キャラが幸せになればなるだけ、ああ、どうせろくでもない死に方をするのに、と思い、どん底になると、どの道ひどい死に方をするんだからそんなに不幸にしなくても、と思ってしまうのである。
そういえば副長・山南敬助堺雅人)の死はそのとき初めて知って、やっぱり切腹の回の後はしばらくショックで、その後三宅乱丈の「秘密の新撰組」(太田出版)を読んだときは、明らかに大河ドラマ版の影響下にある絵柄で、いったいどんな死に方をするか不安だったのだが、ものすごく適当に処理されてしまい、あれはあれで憤りを感じた。
結局観れば傑作でも駄作でも心乱される運命にあるのだ。
やはり物語の行方は最後の最後までわからないのが一番良い。
とはいえまあ、今回は各所で評判が良いので覚悟を決めて観てみようと思っている。歴史は歴史なんだからいつまでも哀しんでいても仕方がない。
その点でアニメ「恋姫無双」「真恋姫無双」は、子供の頃から好きだったあのキャラやあのキャラが死なない、しかも行動が好意的に解釈されるので、終始心を痛めずに観ていられるという、自分の今まで見てきた中でも稀有な作品である。それでなくても、董卓袁術張角といった人々まで、かなりのデフォルメがなされているにせよ、基本的に善玉として描かれている、というのは「三国志」史上でも画期的なことなんじゃないだろうか。この視点は個人的には盲点だった。どうせ彼らに関する記録は誇張や歪曲に満ちているのだろうから、歴史の犠牲者として彼らを捉えなおすこともできるはずなのである。それこそ、「利家とまつ」で柴田勝家松平健)が織田家を最後まで守ろうとした忠臣として描かれ、当時斬新な勝家像として視聴者に評価されたように。